第五章
上空では二体一の白熱とした戦闘が繰り広げられている。その一方で着実に複製ピットの数を減らしつつある一行は防壁のお陰で無傷であるとはいえ息を切らし始めていた。だからといって攻撃の手が緩むはずもなく襲いくるピットにカービィは苛立った様子で声を上げる。
「しつこいんだけど!」
戦っていて分かったことがある。
それは複製である彼らを倒すと光の粒子と化し消滅してしまう他にスピリットと思しき七色の光が解放されて立ち昇っていくという点。
「はあっ!」
作られた複製はそのままでは単なる容れ物でしかないからスピリットを入れて操作させているということだろうか。どうりでそのそれぞれが異なった動きで仕掛けてくるわけだ。
「、!」
ピットの斬りかかりを躱し、直後の蹴りを腕を交差させて受け止める。そのすぐ後ろでは断崖絶壁が大きく口を開けていて小石と共にルーティのズボンのポケットからこぼれ落ちた硝子の破片が底の見えない暗闇に呑み込まれた。
その時である。
「うわっ!」
地面がぐらぐらと揺れる程の地響き。困惑して体勢を崩すルーティの隙を突くべく斬りかかるピットを死角から勢いよく飛び込んできたラディスが突進により弾き飛ばす。
「大丈夫か!」
案ずるラディスに頷いてみせたその直後。
「!」
ラディスは声を上げる。
「ルーティ!」