第五章
少し先を歩いていたラディスとカービィが立ち止まって振り返る。
「余計なことかもしれないけど」
舌打ちをしたクレイジーが振り払おうとするもルーティは強く掴んで離さずに。
「誰かに頼める性格でもないでしょ」
マスターは目を逸らす。
「……この戦いが終わったら」
ルーティは眉尻を下げながら寂しそうに。
「お別れしなきゃいけないことは分かってる」
でも。
「だからってそれを見越してなるべく接しないようにしようだとか。そんなのは誰のためにもならないと思う」
ラディスはゆっくりと歩み出てルーティの隣に並ぶとふたりを見上げた。
「飛び上がって喜ぶなんてお前たちの性格じゃないことくらい知っているさ」
マスターとクレイジーは視線を戻す。
「それでも」
ラディスは耳を下げながら。
「俺にとってはそっちの方がずっと寂しいよ」
忘れていた。
この人が寂しがり屋だということを。
「はー」
諦めたかのようにクレイジーが息を吐いた。
「分かったよ」
何処か照れ臭そうな様子である弟にマスターはふっと笑みを浮かべる。
「大きくなったな。ふたりとも」
「別に。お前が小さくなっただけだろ」
「それを言われてしまうと何も返せないな……」