第五章
ルーティはその小さな体の脇の下に手を通して抱き上げる。
「うわっ」
この小さな体の中に父親の魂が。
「変な感じだね」
ルーティが笑うとラディスは苦笑する。
「昔は逆だったんだぞ」
「そもそもこの状況がイレギュラーだけどね」
さて。感動の再会はここまでにして──現実と向き合わなければならない。リムやピチカと再会出来たまではよかったものの予想していた通り言葉は通じても思想は理解できないものに染め上げられていた。光の化身キーラを神と讃えて崇める信者に成り果ててしまった彼らを元に戻すには?……一筋縄ではいかないだろう。
先程は混乱の方がどうしても上回ってしまったがいざ自分のパートナーが頬を染めて涎を垂らしながら両手を組んで祈りを捧げようものなら迷いなく殴り飛ばす自信がある。それはそれとしてもマスターとクレイジーが神力を取り戻しつつある意外な展開も。となればこの先で束になって襲われてもどうにかなりそうなものだが本命までに神力は温存しておきたいし。……
「そうやって歩いてるとさ」
カービィはにやにやとしながら。
「名探偵ピカチュウってやつみたいじゃん」
あーあ。言ってしまった。
ピカチュウの体に憑依しているラディスは四足歩行ではなく二足で立って歩いていたのだ。
「事件なら任せてくれ!」
「今まさに事件の真っ只中だよ」