第五章
カービィは腰を摩りながら歩み寄る。
「何? 死んだの?」
ルーティはすかさず睨みつける。
「不謹慎だよ」
そんなやり取りをしていると空から花弁が舞い落ちるようにして七色の光の球が降りてくるとピカチュウの額に触れた。直ぐさまそれは氷が溶けるかのように体の中に吸い込まれていき、淡い光がピカチュウの体に灯る。
「何?」
カービィは怪訝そうに覗き込んで。
「進化?」
「そんなわけないでしょ」
ルーティが呆れたように半目になっている間にピカチュウが身動ぎ、そっと目を開いた。
「起きた!」
ぱあっと表情を明るくして見つめる。
「大丈夫?」
……さっきの声は。
「兄さん?」
ぱっと現実に引き戻される。
「どうしたの?」
「いや」
不思議そうに見つめる弟に返して溜め息。この期に及んでそんな男の幻聴を耳にするなど笑い話にもならないのに。心労の蓄積を感じて溜め息をついたその時素っ頓狂な声が聞こえた。
「へっ?」