第五章
刹那。茂みから青白い光の束が放たれる。
ばちばちと鳴き声をあげて閃光を跳ねるそれは明らかに先程のピカチュウに向かって放たれたもので──既の所でそれを回避したルーティは直後茂みから飛び出した黒い影に目を見開く。
「ピチカ……!?」
見間違いなどではない。年齢よりも幾分か幼く見える風貌にブロンド色のツインテールが特徴的な少女はピチカ本人だった。此方に構う様子なく駆け抜けていく彼女にルーティは反射的にカービィの腕を払って追いかける。
「待って!」
ピチカは無言でピカチュウを追っている。
「ねえ!」
自分が追いかけているのは本当に可憐に笑って甘えてくるあのピチカなのだろうか──疑問を抱けど直接話を聞いてみないことには。
「!」
道の傍から飛び出した影が先を走るピカチュウのその小さな体を蹴り飛ばした。砂煙があがりルーティは足を止める。
「けほっ」
咳き込んでいる間にカービィ達も追いついた。マスターは前方に向かって手をかざす。右目に青い光がぼうっと灯ると砂煙を弾き飛ばして。木の幹に激突したのであろうピカチュウはぐったりとしており、それを守るように薄い青色の防壁がマスターの手によって展開されている。
「どういうつもりかしら」
その声を忘れるはずもない。
「リム!」
「おにぃだ!」
ようやく気付いたのかピチカが振り返る。
「おにぃもお手伝いしてくれるの?」
「て、手伝うってなにを」
ピチカは無邪気にピカチュウを指差す。
「あれを殺すの!」