第五章
カービィの説明にようやくルーティは頭の中でこんがらがっていた糸が解けたようなすっきりとした感覚を得た。けれど。
「その推測が正しいのだとしたら」
マスターとクレイジーがこの世界に戻ってきたことを当然よく思わないはずだ。まさか跡形もなく潰そうなど物騒な思考にまでは至らないのだろうが何らかのアクションを起こしてくるに違いない。
「そういうことだ」
マスターは小さく息をついて。
「自ら出向いてくれるのなら見易いが」
「どうだろうね。一度座ったら余程の事がない限り立ちたくないタイプでしょ」
クレイジーが肩を竦めたその時である。
「──!」
がさりと茂みが大きく揺れた。
途端に一同の視線が集中して沈黙を生む。
何かいる。ルーティは警戒して頬にぱちぱちと青の閃光を跳ねた。茂みは同じく沈黙を保っていたがやがて痺れを切らしたように。
「!」
勢いよく飛び出してきたのは。
「わっ」
ルーティは思わず躱してしまった。人などではなく茂みの中から飛び出してきたのはジグザグとした尻尾が特徴的なピカチュウである。何かから逃げるように駆け抜けていくピカチュウを呆然と見送っていたが直後。
「危ない!」
カービィに腕を引き寄せられて。