第一章
、創造と破壊の双子が──揃ってしまった。
それにしてもぞっとしないことを言う。確かにマスターにしてみればゲームのキャラクターの模造品たる自分たちは最も特別な管理下で少々メタなことを言ってしまえば肉眼に捉えられるはずもないキャラクター設定や構築する全てを弄ることも容易いのだろう。長い時間をかけて呑み込んだ事実を重んずるでもなく軽々と口にする辺り人形や模造品と言って嗤う彼らもまた真実というわけか。愛しているのだと囁く割に自分たちの都合に合わせて改変するなどやむを得ないといった言い回しに絶対に倒さなければと正義たる使命感のようなものが湧いて出る。
それこそ。
彼らの思うツボなのかもしれないが。
「気分も高揚してきたところだ」
マスターは笑みを深める。
「始めようじゃないか」
「ひとつだけ答えろ」
茂みを抜けて現れたのはウルフである。先程のルーティ達はウルフェンの着地を待たずに上空から飛び降りる形でこの場に飛び込んだためにウルフだけが遅れて参じたのだ。
「何が目的でこの辺りをウロついてやがる」
「お前たちに関係ある?」
破壊神クレイジーハンドは首を傾げる。
「僕たちも無用な争いは避けたいからね」
「烏滸がましい」
マスターは鼻で笑った。
「それを判断するのは模造品などではなく我々だということをお忘れか?」
これが神様のプライベートなら或いはと良心のようなものを働かせてみたが。ルーティは舌を打つウルフがホルスターに手を回すのを見て、静かに双子を見つめ直しながら構える。
「いい子だ」
満足げに笑みをこぼす。
「さあ。始めようか」