第四章



「……あれが」

ぽつりと声を洩らしたのが誰かは分からない。あまりの美しさに──圧倒的存在感にこの場に居る誰もが釘付けになっていた。

「アーハッハッハッ!」

リドリーは右腕を広げて嘲るように嗤う。

「崇めろ! 讃えろ!」

その声は室内に反響する。

「この世界の新しい神を!」


あれが──遠い昔にこの世界の半分をその光で灼き尽くした古代兵器。

光の種族が残した恐ろしき神威。


「兄さん」

クレイジーは光の化身キーラから目を離さないまま最善の策を兄に求めた。

「──恐ろしいか?」

リドリーは口角を吊り上げながら。

「それとも。あまりの神々しさに言葉を発することすら烏滸がましいか?」

キーラは柔らかな笑みを浮かべたまま此方を見下ろしている。どんな攻撃を仕掛けてくるのか言葉は通じるのか何一つとして情報がない──そもそもの話キーラの正体が巨大な真珠色の球ではなく人の形をしていたなんて。

「さあ」

リドリーはキーラを振り返る。

「身動きひとつ取れないデカブツに掻き集めた神力を尽くしてやったのは誰だ?」

叫ぶ。

「願いを叶えろ!」

……響く。

「この俺様に世界を掌握するだけの力を!」
 
 
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