第四章
ルーティは思わず叫んだ。
「スピカ!」
ようやく戻ってきたらしい彼はどうやらワープパネルから此方に参じた様子だった。気付かなかっただけでぞろぞろと他のメンバーも此方に駆けつけてきている。
「良いザマだな」
こんな状況下でも出てくる台詞がこれである。スピカはジャケットのポケットに手を突っ込みながらマスターとクレイジーをひと睨み。
「減給がお望みのようだな」
「ふざけんな」
「どうでもいいけど遅刻だよ?」
「お前らが無茶苦茶なこと言うからだろ」
空気が和らぐ。
「ルーティ」
駆け寄ってきたのはフォックスだった。
「フォックス!」
「、ごめん……ごめんな」
飛び付くルーティを優しく抱き留めながら。
「……状況は」
「それが」
ルーティがそろそろと視線を向けた先ではもくもくと大きな黒煙があがっている。最初から殺気も何も感じ取れなかったので何とも言えないのだが先程から何の反応も見られない。
「それより」
ルーティは不安げに。
「……大丈夫だったの?」
「ああ」
フォックスは頷く。
「ルーティが屋敷を飛び出してから身動き一つ取れない状況が続いたけど──ウルフがロックマンと連絡を取り合っていたんだよ。その中で正義部隊がルーティ達の足止めに駆り出されるタイミングで俺たちの乱入を提案したらしい」
ルーティはウルフを振り返った。
「俺たちみたいな特殊防衛部隊はその名の通り幾らか自己判断で特殊な行動を起こしても最終的に国を防衛出来るならお咎めがないし反対に正義部隊は少しでも逆らったら首を落とされるレベルで監査が厳しいからな。お互いの立場を守る意味でも最善策だったと思うよ」