第四章
不快感を抱いたのであろうクレイジーが視線を落として見下し蹴り上げようとした。
「、!」
リドリーは咄嗟にその足首を掴んで止める。
「"間に合った"?……」
喉奥を鳴らして笑いながら。
「抜かせ」
強い力を込められたことでクレイジーは危険を察知して即座にマスターと並んで飛び退いた。
「こいつが政府の人間にどうして見つかったかその時の状況を思い出してみな」
古代兵器が発掘されたのは。
「まさか」
ルーティはハッとする。発掘された当初は円形の真珠色の球という情報までしかなかった筈。それが今の姿は何の手も借りずに宙に浮かんでおり巨大な螺旋の羽根まで纏っている。
「お察しの通り──こいつはもう既に覚醒している! 大戦争を引き起こしたその時とまんま同じ見た目にまで再生してるのさ!」
ゆっくりと立ち上がるリドリーだったが左腕がだらんと不自然に垂れた。頭からは少量の血を流しており情け容赦なかった様子が窺える。
「だから?」
クレイジーは冷めた目で見据える。
「僕たちの目的は変わらない」
「もう間に合わないさ」
リドリーは嗤う。
「全ての神力を注入した」
鼓動音。真珠色の球に注目が集まる。
「羽化が始まる」
程なくして球の中心に一線が引かれた。素早くクレイジーが飛び出したのをリドリーは目前に立ち塞がり蹴り飛ばして。直後飛び込んできたマスターの右腕を掴んで投げ飛ばす。
「ウルフ!」
ぼうっと眺めている暇はない。視線を交わして駆け出したが出鼻を挫くかの如く次の瞬間球に見覚えのある黒の雷撃が放たれた。
「ったく」
その少年は息を吐いて。
「これ以上宗教が増えてたまるかよ」