第四章
あまりにも。……圧倒的で。威圧的で。
それはなにも語らず身動ぎ一つせずそこに存在しているただそれだけの筈なのに言葉を失って見惚れてしまう程だった。大昔──天空大都市レイアーゼが大天空界だった時代に最も神に近いと云われる光の種族が作り上げた"神威"。"この世界"を手に入れるために大戦争を引き起こしたが世界の半分が光に灼かれる程の辛く激しい戦いの後、深い眠りについた代物。
神話に語られる架空の生き物だと例えても差し支えないことだろう。埃被った古い本に飽きるほど存在を示されてきた古代兵器。
それが。目の前にいる。
「間に合ったかな」
はっとルーティが視線を向けた先でマスターとクレイジーが肩を並べていた。一瞬、合流した自分たちに話しているものかと思ったが彼らの足元を見るに違うらしい。そこには容赦なく叩き伏せられたのだろうリドリーの姿があった。
「後はこいつをどう始末するかだな」
「神力が枯渇してるんじゃあね」
古代兵器を前に口々に話すマスターとクレイジーは恐らく此方に気付いているのだろうが構う暇はないらしい。元々自分たちも古代兵器の覚醒を阻止するために動いていたのだから彼らがどう判断を下すか黙って見守るべきだろう。
「……くく」
マスターとクレイジーが視線を向けた先。
「ハハッ……アハハ……」
リドリーは狂ったように笑い始める。