第一章



その音一つで彼らは消えた。──跡形もなく。

「地上にいるのは」
「、ソニックとスネークだけ」

答える声に焦りが滲む。

「ウルフ!」


急がなくては。


地上界──ペレジア。与えられた任務を無事に果たしたソニックとスネークは帰りがけに不審なものを見つけて独断で調査にあたっていた。念のためリーダーであるルーティにもその目で見てもらおうと連絡をした矢先である。

「うぐッ!」

吹き飛ばされて木の幹に激突する。

「っ、スネーク!」
「余所見なんかしちゃって」

ぎくりとして向き直れば。

「いいのかなぁ?」

……ぞく、と。

咄嗟に腕を構えたがその隙間を掻い潜るように打ち出された蹴りの一撃が鳩尾に。声にならず目を見開いているところをその相手は浮かべた笑みを深めて風を切る音も捉えられない速さで回し蹴りを繰り出し容赦なく弾き飛ばす。

「ぐあッ!」

数メートル先まで。地面をゴムボールのように跳ねながら転がり伏せたが気配を察知して起き上がると同時に飛び退く。予測通り降り注いだ攻撃が地面に空撃ちされるのを目前にもう一度地面を蹴り出して更に後方へ飛び退くが煙幕を突き破って飛び出した影が左手を伸ばして。

「ッ、ぐ」

首根っこを捕まえて──後方にあった木の幹にそのまま勢いよく叩き付けられる。

「あはっ」

その少年はぎりぎりと絞め上げながら問う。

「逃げられるとでも思った?」
 
 
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