第四章
リドリーは白衣を翻して背中を向けるとワープパネルへと足を進めて。丸い円の中に収まれば白い光が彼を包み込み転移する。
「リドリー!」
「貴殿らの相手は俺たちが引き受けよう」
ロックマンはそう言って青い装甲を瞬時に纏い左腕を変形させると砲口を向けた。──彼らは味方のはず。なのにこうもぴりぴりとした嫌な空気が執拗に肌を刺すのは何故なのか。
その答えを知るのは早かった。
「ッ、」
前触れもなく放たれた砲弾の一つがルーティの頬を掠めたのだ。薄らと引いた赤の線が彼らが如何に本気であるかを物語る。それが引き金か気付いた時にはカムイとカンナがそれぞれ剣を振るい此方を見据えて駆け出してきていた。
「ほんっと政府のお犬様だよね!」
言い捨てたクレイジーが右へマスターが左へ飛び退くのをルーティはその場から動かずまずは二人の剣を冷静に躱した。直後頭上に影が差し掛かれば相手を誰か確かめる間もなくその場を飛び退いて──床をいとも容易く抉った正体はクラウドの振り下ろした大剣。それだけを確認して息付く間もなく目前にまで迫った炎の柱を瞬時に放った電撃で対抗するも押し返されて。
「くっ!」
軌道をずらして硝子の壁へ。即座に飛んできたシラヌイとモウカによる光線弾を躱すべく蹴り出して地面に着地すれば狙い澄ましたかのようにベヨネッタの踵落としが降ってくる。それを飛び退いて躱し、次に飛び込んできたマックの連撃を兎角回避に専念して──キリがない!
「っ……味方だったんじゃないの!」
マックを放電で追い払ったが直後仕掛けてきたミカゲの攻撃を躱しながら訴えかける。
「記憶にないで御座るな」
しかしつい先程まで親しく言葉を交わしていたはずの彼は、打って変わってまるで氷のような視線を返すと容赦なく回し蹴りを繰り出して。
「平和に飢えると脳が幸福に満ちるらしい」
躱した先で飛び込んできたのは。