第四章
なるべく通路の右側に寄って歩くという僅かな抵抗を見せながら正面に見えていた大きな扉の前へ。扉はオートロック式のようで暫く反応がなかったが不意に認証が施されたのか機械的な音を立てながら両側に引いて室内へ招く。
「暗いな」
マスターが言っていたようにこれでは本当に大口を開けた竜の口へ自ら足を進めているようなものである。ただ薄暗いだけの室内に不思議と警戒心が募り扉の閉まる音にすら肩を跳ねて。いつ何処から攻撃が飛んでくるかも分からない状況に全方位に警戒を走らせていると。
不意に。明かりが灯った。
「待ち侘びたぞクソガキ共ッ!」
びりびりと響き渡る罵声に顔を上げる。
はっと目を開く。
「テメェらが散々手こずらせてくれたおかげで! 計算が狂いやがったッ!」
明かりが灯ったおかげで部屋の全貌が明らかとなる。部屋は広く丸く円を描いたような形で今しがた入ってきた扉を除き壁は一面硝子張り。天井は高く──恐らくその先が最上階。移動は先程から声を荒げている男の背後にあるワープパネルと思しきそれが助けるのだろう。……それよりも。
「ロックマン……!」
ルーティは思わず名前を呼んだ。
「やはり。寝ても覚めても現実らしい」
ロックマンは冷たく見据える。彼だけではない──第四正義部隊フォーエス部隊のメンバーが一人残らず勢揃いで此方を睨んでいるのだ。
「アーッハッハッハ!」
「耳障りなのが分からないかな。リドリー」
クレイジーは眉を寄せる。
「黙れッ!」
藤色の髪の男、リドリーは前髪を掻き上げて。
「もうすぐだ……もうすぐで完成する。最高のおもてなしを用意してやれる」
口角を吊り上げる。
「殺さない程度に足止めしろよ……正義部隊?」