第四章
「何を言いかけたんだ」
はっと見るとふたりは元の目の色だった。
「ああえっと。……政府の人たちと交渉してる時古代兵器の姿はなかったのかなって」
「見つけてたら交渉破棄してぶっ壊してるよ」
それもそうである。
「だ、だよね」
想像するに存在感はある気がするのだがふたりが気付かなかったということはミカゲの言ったような姿形で草陰に潜んでいた訳ではないのか──すると約二メートル程の円形の真珠色の球というのは仮の姿で本体はもっと小さい……?
「……!」
エレベーターが停まった。よく見ると目的地である最上階ではなくその一つ下の階で停まっている。ルーティが不思議に思ってボタンを何度も押してみるも反応がないまま扉が開いて。
「降りろってさ」
マスターとクレイジーが素直に通路に出るのを見てルーティも渋々とエレベーターを離れる。
「何もないとは思ってなかったけど」
「分かりやすくて助かるじゃないか」
ふたりは話しながら何食わぬ顔で先を歩いていたがルーティは一歩通路に踏み出してみて足が竦んでしまうところだった。──通路の横幅は二メートル弱。その向かって左側の壁はなんとガラス張りでレイアーゼの全貌を見渡せる。
普段からパートナーの飛ばす機体に乗っているだろうにと突っ込まれそうなところだがそれはそれこれはこれ──訳が違うのだ。
「なにボサッとしてんだよ」
「クレイジー」
振り向いたふたりは何やらひそひそと。
「あー」
クレイジーはにやり。
「手でも繋いでやろうか?」
「結構です!」