第四章



奪った神力は当然古代兵器へと充てられたことだろう。そして計画の邪魔をしようとここまで迫ってきている自分たちをわざと泳がせているということはそれだけ余裕があるということ。


……つまり。

古代兵器の覚醒の目処が立っている──?


「大口を開けた竜の口に自ら歩みを進めるなど実に滑稽なことだろうな」

マスターはくっくっ、と喉奥で笑って。

「お前たちはどちらの味方なんだ?」

唐突に不安を煽られ弾かれたようにルーティはミカゲを見るも当の本人は黙っている。味方と思って浮かれていたのにまさか罠に掛ける為に工作を。嫌な考えが脳裏を過ぎる。

「意地の悪い神々だ」

それまで黙っていたジョーカーが口を開く。

「質問を返そう。一つ目は俺たちが危険を察知して引き返すことを提案したとして従うのか。二つ目は俺たちの立場を理解しているのか」

それを言うとマスターは更に笑った。

「……それもそうだな?」

引き返すという選択があるはずもない。どんな危険があったとしても絶対に。そして何よりも彼らの立場──司令塔の内部で得た情報をそのままに危険だからといって素直に引き返させてしまえば内部の人間の情報漏洩が疑われる。

そうなれば。彼らの立場も危ういことだろう。

双子が不意打ちで投げかけてくる言葉には冷や冷やとさせられる──喧嘩をふっかけてきたものだと思っていたがどうやら根っこを理解した上でわざと質問をしたようだ。

「……心臓に悪いよ」

ルーティは唇を尖らせる。

「事実確認だろう」

うんうんとクレイジーは頷いて。

「ま。僕たちは分かってたし」

得意げに言ってあからさまに視線を向けられるのでは何も言い返せるはずもなく。

「感謝してよね?」

ほんっと……性格が悪い……!
 
 
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