第四章



「そういえば」

ルーティは不意に訊ねる。

「ミカゲはSPのリーダーなんだよね?」
「……左様で御座る」

ミカゲは頷く。

「何故拙者が抜擢されたものか気になる様子で御座るな?」

ルーティは苦笑気味に「うん」と答えた。

「自分で言うのも妙な話で御座るが派生部隊の結成を提案された当初は拙者が一番裏の世界に通じていたので御座る。それ故恥ずかしながら指導は拙者が全て受け持っているで御座るよ」

ミカゲは忍びの里で生まれ育った忍者で且つ、裏世界に関して言えば圧倒的有識者だ。フォーエス部隊には頭の回転の早い隊員を多く揃えているがその点で言えば群を抜いているからこそSPの監督に選ばれたのだろう。

「凄いね」

素直に褒め称えるとミカゲは咳払い。

「──じゃあ聞くけど」

それまで黙っていたクレイジーが口を開く。

「これって本当にバレてないの?」


……ぎくりとした。


「能力は認めてやるけどさ」

クレイジーはミカゲを横目に。

「奇襲かけられるかって言ったらそうじゃないでしょ」

ミカゲは目の色を変える。

「……根拠は」
「タブーだよ」

クレイジーは小さく息をついて。

「あいつの体には神力が殆ど残ってなかった。野放しにしても数週間は持つくらいにはメンテナンスの度神力を調整して積んでるのに」
「……つまり」

ルーティは思わず口を挟む。

「相手はこっちの動きに気付いていて」

元々手放すつもりで。

神力を奪ったタブーを差し向けた──?
 
 
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