第三章



ロックマン率いるフォーエス部隊は賢い。でもどんなに頭が回ったところで創造神と破壊神の場所を迅速に正確に導き出す彼には関係のない話だった──電柱を蹴り出し断続的に姿を消失させてはその都度小さな爆発を残しながら接近する先にはマスターの姿。

目前にまで迫るとタブーは右腕全体にブロックノイズを走らせ肘から手の先にかけて金色の槍に変形。そのまま右腕を大きく引いて突き出せば既の所で飛び込んだクレイジーが横に構えたエネルギーピラーによって防がれた。

「兄さん!」

何とか弾き返し体勢の崩れたところを蹴り飛ばしたが受け身を取って地面を蹴り出すタブーにクレイジーは声を上げた。その間もミカゲやジョーカーが足を止めるべく次々に攻撃を仕掛けるも眼中にない様子でタブーは蝶が舞うように躱して接近する。マスターはそれまで黙っていたがやがて決心が付いたように顔を上げると。

「……許可する」

クレイジーはすかさずタブーに向き直る。

「鼠ども!」

スピカとルーティは肩を跳ねた。

「あいつの動きを止めろ!」


──そんなこと言ったって!


気持ちは分かるがどうにもならないから今のような状況にある訳で。だがそれは流石の彼らも分かっているはずである──戸惑うルーティが動くより早くスピカは駆け出していた。

「止めるだけだ!」

どんちゃん騒ぎで人が集まれば全てが水の泡になる。迷っている暇はない。

「分かった!」

今度もタブーは此方の動きなど眼中にない様子だったが寧ろ好都合というものだった。前方へ飛び込む寸前で姿勢を屈めて足払いを仕掛けるスピカ──呆気なくかかるが前転して踏み込み地面を蹴り出すタブー。スピカは地面に片膝を付きながら腕を薙いで黒の電撃を放ったがこればかりは視界の外でもタブーは軽く地面を蹴りそれを躱した。その光景を目にすかさずスピカが叫ぶ。

「ルー!」
 
 
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