第三章
酷く安心した自分が居た。フォーエス部隊が何処まで知って政府の側についているのか分からなかったのだ。この場に本人は居ないがきっとロックマンも正義の在り方としてこの判断は正しいのか否か考えた結果表向きは政府側として動きながら裏で手を回す選択にしたのだろう。
……そりゃ交渉をすると話していたのに双子を処刑するなんて言い出したら困惑するよな。
「ミカゲ達は悪くないよ」
ルーティが言うとミカゲは救われたように眉を下げて「かたじけない」と呟いた。
そうこう話している間にレイアーゼ都内に辿り着く。ここまで来てしまえば中央司令塔は目と鼻の先である。ジョーカーの指示のもと建物の影に隠れ裏道を走り着実に接近していく。
「待っていたぜ」
現れたのはリヒターとシモンである。
「この先だ」
シモンが視線を向けた先には既に開かれたマンホールがあった。ここから地下水路を経由して中央司令塔内部に入っていく寸法らしい。
「嫌なら来なくていいんだよ」
下水の匂いにうっと顔を顰めたスピカを横目にクレイジーが言う。
「……別に」
強がるスピカにルーティは笑って。
「なんだよ」
「いや」
なんだかんだ言って来てくれるもんなぁ。
「人目のない今がチャンスだ」
「急ぎなさい」
リヒターとシモンが口々に。
ここまで来てしまえばもうひと息だというのにマスターとクレイジーは押し黙っている。嫌な予感がしてルーティは目を見張った。