第三章
……その後も。
「あっちあっち! 絶対あっちだよー!」
徘徊する兵士を誘導したり。
「ンなことも分からねぇたあ涙が出るぜ……」
わざとらしい説教で足止めをしたり。
「……よし」
どう足掻いても突破が難しいものと判断すればジョーカーとミカゲが自ら兵士たちに奇襲を仕掛けて気絶させたり。要所要所で冷や汗をかくようなリスクはありながらも目指すレイアーゼ中央司令塔へは近付いてきている。
「お前たちは何処まで知ってるんだ」
不意にスピカが訊ねた。
「古代兵器の話で御座るな」
ミカゲはゆっくりと語りだす。
「古代兵器が発掘されたのは二週間前」
「、発掘!?」
「左様」
こくりと頷いて。
「この天空大都市レイアーゼの地中深くで古代兵器は眠っていたという話で御座る。大きさにして約二メートルの円形の真珠色の球」
想像と違う。
「当時は博物館に寄贈する予定だったらしいが呼び止めた男がいた」
ミカゲは冷たくその名を口にする。
「……リドリーで御座る」
聞いたことがある名前にぎくりとした。それはマスターとクレイジーも同じだった様子で。
「どうりで」
綺麗に口を揃える。
「悪知恵を吹き込んだのはそいつか」
「……左様」
ミカゲは頷いた。