第三章
名残惜しそうに視線を向けながら、それでも無慈悲に空間の裂け目が閉じれば辺りには静寂が訪れた。暫くの間ダークシャドウの力を借りれないとなると一気に人数が減ってしまい不安が募るがだからといって彼らの回復を待っている時間も余裕もない……
「今、声が聞こえなかったか?」
どきりとした。
近辺を通りかかった兵士──草陰から窺おうとしたところテリーがぽんと肩を叩いた。小さく肩を跳ねて疑問符を浮かべながら振り向くルーティにテリーはウィンクと親指を立てつつ草陰から出ていく。続けてルルトも。
「Hey!」
テリーが声をかけると兵士たちは振り返った。
「捜索は順調かい?」
「君たちか」
ルルトは腰に手を当てながら。
「この近辺は私たちが調査済みよ! 野うさぎが目的でないのなら他をあたることね!」
……誘導。
「ジョーカー」
「こっちだ」
成る程。こういう作戦か。
ミカゲが合図を送るとジョーカーは無線機から聞こえてくるブルーのガイドを頼りに駆け足で先を進み始めた。続けてミカゲが駆け出すのを見てマスターとクレイジー、スピカ、最後までテリーとルルトの二人の様子を気にかけながらルーティがその後を追いかける。
「その先、一度待機をお願いします!」
ミカゲがその声に従い腕を差し出して制する。
「お疲れさまです!」
茂みの隙間から覗いた先には。
「砂の中から砂金を探すようなものだわ」
「たまには息抜きしてくださいね!」
デイジーとしずえである。お疲れの様子の兵士たちに差し入れを用意してきたようだ。
「いやぁ、気が効くね」
「わたし達は非戦闘員なので」
「頼りにしてるわよ」