第三章
今にも背景が大爆発しそうな熱弁ぶりである。
「る、……ルルト」
ミカゲが大きく咳払いをするとここでようやく我に返ったのかルルトも咳払いをして。
「とっともかくそういうことよ」
クレイジーは露骨に嫌そうな顔をしては自分の首元を手で煽いでいるしマスターは終始真顔。スピカとダークウルフは呆れ顔だし唯一ダークファルコだけがにこにこと笑みを絶やさないでいるが腹の中では何を考えているのか分かったものじゃない。
「正義部隊にとって国の命令は絶対だ。けれどその命令が必ずしも意に沿ったものばかりとは限らない」
ジョーカーが語る。
「そういった事態に備えてロックマンは新しく迎えた隊員を更に振り分けた。国の監視の目に触れないように暗躍する影のチーム。基本的な活動内容は裏世界を牛耳る貴様たちと同じだが万が一国の関係者に勘付かれるなど立ち回りに失敗した際は正義部隊の名誉を守る為その場で切って捨てられるリスクを背負っている」
貴様たち、と示したのは恐らくダークシャドウのことだろう。彼らも裏世界で仕事をこなしているがジョーカーの語ったように失敗したからといって切り捨てられるようなリスクはない。上司の機嫌を損なった際は彼の語るリスクとは比べ物にならない処罰がありそうだが。
「……ふぅん」
クレイジーは興味なさそうに。
「今すぐここで大声出してやってもいいけど」
「やれるものならやってみなさいよ!」
すかさず噛み付くルルトだったがミカゲが手で遮るように制した。
「……その様子だとお前が監督?」
「如何にも」
クレイジーはふいと目を逸らす。
「ま。ここは素直に受け取っておくかな」