第三章



「──全く」

直後ダークマルスとダークロイの前に薄い青の防壁が展開される。

「世話の焼ける」

構えた砲口から撃ち出された光弾はマスターの作り出した防壁によって防がれた。安心したのも束の間デュオンの体が青白い光をぼんやりと灯すと周囲に幾つものミサイルを生成して。

「ああもう!」

ルーティとスピカの間から飛び出した黒い影が地面を蹴り出して宙へ高く舞い上がり、左眼に赤の光を灯すと後方に幾つもの赤の魔法陣を生成した。魔法陣はその中心部から紫色の光を淡く灯すエネルギーピラーを生み出すと主が腕を薙ぐのに従ってミサイルに突撃。

ミサイルは攻撃によって破壊され万事休す──と思ったのも束の間デュオンの背後に複数の青白い魔法陣が浮かび上がりその中心部から光線が断続的に発射される。着地を許されたダークマルスとダークロイは大きく飛び退いてそれを回避。ルーティとスピカは庇うように目の前に立ちはだかったダークファルコとダークウルフが展開した反射板によって難を逃れる。

「死にたいのかっつってんの!」

クレイジーは休み間もなく魔法陣を展開。

「部下の尻拭いも楽じゃないんだから……!」


想像以上に敵の攻撃が激しすぎる──


「くそっ」

クレイジーに続けてスピカは腕を薙ぎ払い黒の電撃を放つが今度デュオンは全身に青白い光を纏い攻撃を弾く──その最中でダークウルフが遂に片膝を付いた。まるで喘息のように呼吸の調子すら違和感が窺える。ルーティは無情にも青く晴れ渡った空と此方の気など知れず眩しく大地を照らす太陽を見上げて察した。

「やっぱり──」

地響きが遮る。気付けば目と鼻の先でマスターとクレイジーが肩を並べて複数の魔法陣を展開させながら応戦している。戦況としては此方の防戦一方で圧倒的不利な状況だ。それは彼らも分かっているはず。何処かのタイミングで撤退しなければ時間を食い潰されるばかりだ。

「兄さん!」

ほんの一瞬の隙を突かれたそれだけで展開した防壁は崩壊を余儀なくされる。神力が恐ろしいのかはたまた此方が力不足なのか──数を束ねその上で双子が味方についているのだから理由があるとすれば前者だろう。最善の策すら思いつかない自分にルーティは顔を顰める。
 
 
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