第三章
「僕たちがタブーとの戦闘を避けなければならないのは束になって掛かっても敵わず全滅する可能性があるからだよね」
ルーティは人差し指を立てて提案する。
「いっそのこと戦闘を避けずにタブーの神力が尽きるまで戦うっていうのはどうだろう?」
「脳筋かよ」
クレイジーが呆れたように呟いたが彼にだけは言われたくない台詞だな。
「僕たちの目的はタブーの撃破じゃないだろ。無用な争いは極力避けて体力を温存する」
「で、でもタブーはマスターとクレイジーの居場所が分かるんだよね」
ルーティは引き続き意見を述べる。
「神力を蓄えることができないってことはこのまま放っておいても枯渇するわけだから──」
「一週間も逃げ回るつもりか?」
今度はマスターが冷めた口調で答えた。
「得策ではないな」
「じゃあ」
「頭を使って回避する」
クレイジーは人差し指で己のこめかみを叩く。
「ただ気掛かりなのは奴らがガレオムを刺客として差し向けたという点だ。あれはお前たちが計画妨害の際に破壊してくれたはずだろう」
「実際、僕たちはあの計画以降亜空軍には手を付けていないんだよ。タブーだって出来るのは奴らを使役してやることだけ」
ルーティは眉を寄せる。
「じゃあ……誰がガレオムを作ったの?」
自分でも嫌な疑問に触れたと思う。
「可能性があるとすればひとつ」
マスターは瞼を伏して視線を上げる。
「古代兵器は目覚めている。俺とクレイジーが国の連中どもと接触するよりも以前に」