第三章
「まさか何の捻りもない思考も行動パターンも同じ複製品を差し向けてくるとはな」
な……
「刺客にしては拍子抜けって感じだよね」
…………なっ……
「全く。誰が作ったと思ってるのさ」
「嘗められたものだ」
「何だったのおおお!?」
耐えきれず声を上げたが双子は声を揃えて。
「……は?」
「じゃないでしょ!」
ルーティはすかさず切り返す。
「力を使えないはずじゃ!」
「それは創造と破壊の力の話だろ」
クレイジーは腰に手を当てながら答える。
「魔力は健在。僕たち余裕で戦えますけど」
えええぇええ……
「だから言っただろ」
スピカはそれ見たことかとばかりに呟く。
「ほ、本当に……あれ魔力なの……?」
「格が違うんだよ」
そういうものなのだろうか。
「神力が底を尽きたのも今回が初めてという話じゃない。俺たちは神力を失った際その予備として魔力を体内に貯蓄している」
「万が一に備えるのは基本中の基本だろ」
そうかもしれないけど!
「我々も過去に何度か御二方と手合わせさせていただいたことがありまして。その際御二方は非常に慈悲深いことに、神力を使わないというハンデを負ってくださったのですが──察しの通り一人残らず返り討ちという結果でした」
ダークファルコは含み笑いを浮かべる。
「まさかとは思うけどそれって」
「束になって掛かれば或いはとも思いましたが軽率でしたね」
もはや何も言うまい。