プロローグ



◆プロローグ



夢を見た。

ぼんやりと開かれた視界の先で広がるのは遥か彼方まで果てしなく続く空。

彩る空色と橙色のコントラスト。一線を隔ててその下に広がっていたのは赤黒い光の飛び交う暗く重たい不穏な色。決して混ざり合うことのない二つの空が何処までも滞ることなく。


"この世界"は愛されている。


無数の魂たちによって綴られる鮮やかな物語に彩られた美しい世界を。創造と破壊──異なる慈愛がその手に直接触れて今日も護っている。


僕たちは。

そんな彼らの──愛し子だ。


……電子音鳴り響く微睡みの朝。

小鳥囀る締め切ったカーテンと窓の向こう側。

意識のはっきりしない頭で目覚まし時計を手に取る。針の差し示す残酷な事実に今日も深々と溜め息をついてしまいながら。

「また寝坊……」


ルーティ・フォン。

言い訳のレパートリーが尽きそうです。
 
 
 
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