最終章
と。無個性な着信音が唐突に。
ウルフはローテーブルの上で小刻みに振動する携帯を手に取るとその画面、電話をかけてきた相手の名前を一瞥して応じつつ耳にあてがい立ち上がった。
「ウルフ!」
電話の相手はフォックスだった。
「悪いがパンサーに代わってくれ!」
「……何の用だ」
「時間がないんだ、早く!」
実をいうとウルフもそれほど気が長い方ではない。生まれや育ちから影響を受けているのだろうがそれはそれとして勝手で急かされるのは腹が立つ。
「……誰に口利いてやがる」
ウルフは眉をひそめた。
「テメェの都合なんざ知ったことか。用があるなら直接言いに来い」
「違っ、話を聞いてくれウルフ!」
きんきんと耳に障る。
「ぁ」
舌打ちを返して切ろうとしたその時。
「ルーティに何かしたら許さないからな!」
プツリと。
強制的に電話を終えたところでウルフは顔を顰めた。
……ルーティ? 誰だそれは。