最終章
「フォックス」
事情を悟ったペッピーがコーヒーを啜り、静かに語った。
「人の本質というもんはそう簡単には変えられんよ。お前が親父さんの最期を知りながらそれでも、アンドルフに立ち向かったのと同じようにな……」
「じいさん多分聞いてないぜ」
ふと振り返るとフォックスはせわしない様子で携帯を打っている。
「こらー! 人の話は聞かんか!」
「うるさいなぁ年寄りは黙ってろよ」
「何をしてるんだ?」
フォックスは質問に構わず携帯を耳にあてがって。
「ちょっと見てファルコ、ここ!」
慌てるクリスタルの指差す箇所に目を遣ると。
「……!」
ファルコは目を疑った。
ここはならず者の溜まり場。兼スターウルフ基地サルガッソーコロニー。
「はい、コーヒー」
ローテーブルの上にカップを置いたのはまだスターウルフに入隊して間もない褐色肌のすらりとした男、パンサー。
「物好きだな」
ソファーに腰を下ろして今日も愛用のナイフを研ぐのは一瞬女性と見紛う容姿端麗白磁の肌と緑の長髪の男。スナイパーのレオン。
「貴様のような子供が正義の真似事など」