最終章
全くだ。俺はもう金輪際、関わるつもりはないというのに。
それだけ実力と功績が認められているといえば確かに聞こえはいいだろう。だけど俺は十三年前のあの日のことを忘れたわけじゃないし、例えあっちの人間がそれを思ってだからこそ頼りにしたいのだとしても考えは変わらない。
俺は、俺のやり方で“この世界”を守るだけ――
「どっかで見張られてるんじゃないの?」
「ちょっとやめてよ、スリッピー」
フォックスは無言でゲームに打ち込んでいる。
「……よーし!」
スリッピーが何かを思いついて立ち上がったのはその直後だった。
「何を始めるつもりなの?」
「レイアーゼ防衛機関電子情報管理システムにアクセスして今現在防衛部隊に所属している隊員名簿を拝見するのさ」
「おいスリッピー。それって犯罪なんじゃねえか?」
蛙だけに。けろっとした顔で。
「そうだよ?」
またくだらないことを……
「スリッピー!」
「ダイジョーブダイジョーブ!」
オイラに任せてよ、と笑うスリッピーは聞く耳持たず。そうと決まればとばかりにリビングを飛び出した。わざわざパソコンを取りに行ったらしい。