第二章



「ルイージ!」

バトルルームに響いたのはマリオの声だった。今まさに退散しようと出口へ向かっていたルイージは、ぴたりと足を止めて。

「お前……この期に及んで、自分が最低な弟だとか思ってんじゃないだろうな」

ルイージは口を閉じていて。

「そんなの、俺が否定してやる!」


だから――


「……やめてよ、兄さん。さっきの今で面と向かって話せるほど、強くないんだ」

ゆっくりと振り返るルイージ。

涙に濡れた顔を晒す彼だったが、マリオを見つめてはっとした。

「俺だって同じさ」

マリオの頬を、雫が滴り落ちて。

「唯一無二の兄弟じゃないか」

ぎゅっと抱き締める。ああ、自分の弟の存在とはこんなにも温かかったのか。

「馬鹿な兄貴で、ごめんな」
「ううん。……兄さんは」

ルイージはマリオの肩に顔を埋めて。

「やっぱり、凄いや……!」
 
 
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