最終章
「では、ここでお別れですね」
数歩進み出て振り返るとリンクは告げた。
「せやったら俺も」
続けてドンキーがその隣に並ぶ。
「もう少しゆっくりしていけばいいのに」
「ふふっ。寂しいんですか?」
からかうリンクに、もう、とリムはわざと不貞腐れたような態度を返す。
「……これからどうするの?」
「旅をしようかと思っています。幸い、宛てがあるので」
ドンキーはにやりと笑って。
「勇者が板についてきたやないか」
「そう言う貴方は相変わらずゴリラですね」
「どういう意味や」
そうしてまたくだらないやり取りを始める二人を微笑ましそうに見つめて。
……成長したなぁ。目の前にいるこの人たちは所々に面影を残しているけれどあの時とは違う。もっと沢山の知らないものに溢れていて。
そうやって塗り替えられていくのかな。
私たちの積み重ねてきた日々は。
「……そろそろ行きましょうか」