最終章
これはまた特大級の地雷を潔く踏み抜いたものだ。
察して謝るドンキーに、いいえ、とただひと言リンクは返して沈黙。
それから少しして歩き始めたが無言が続くばかりだった。
「……そういえば」
思いついたように沈黙を掻っ切る。
「クレシスはどないしたん?」
どうして一度までならず二度までも答えづらい質問を投げかけるのか。とはいえ、こればかりは咎めることはできない。何をどう言ったところで、久しぶりの再会であることに変わりはない。気になることなど泉のように溢れるばかりだろう。
「今は陸上部隊訓練所で教官を務めているの」
「陰でどう呼ばれとるか察しがつくな」
「当ててみて」
「鬼教官」
リムはくすっと笑って、
「正解」
何とか空気を持ち直して他愛ない話を交わす内、森を抜けた。
さあっと風が吹き抜けてそれぞれが乱された髪を正す中。
無情にも。その時は訪れる。