最終章
リンクは頷いた。
「……ユウの強い催眠術による記憶の改変。そのお陰でルーティは他の子供たちと何ら変わらない日々を送っている」
続けて、
「そこに我々が関与したら――」
「本来の記憶を呼び起こすかもしれん」
ドンキーは不機嫌そうに、
「そんなん言わんでも分かっとるわ。わざわざ説明口調になってからに」
「紛らわしいんです。さっきの口振りは完全に会うといったものでしたよ」
「人の思うとること勝手に決めつけんといてくれる?」
「まあまあ」
リムが苦笑いを浮かべて仲裁に入るとドンキーはぷいと顔を背けた。
「あんたも人が悪うなったな。会いとうないんか」
「貴方もそんな言い方――」
「会いたいですよ」
リンクはぽつりと答えた。
「でも、仕方ないじゃないですか」
――ルーティを、守ってやってくれないか。
それがあの人の最期の言葉だった。
そしてその言葉を語ったフォックスのあの時の顔は忘れもしない――
「……ごめん」