最終章



森の中をゆっくりと歩きながら、四人はそれぞれの話をした。


あれから、リンクはハイラルの各地を回って悪事を働く蛮族や魔物を退治したり、国の関係に王女として知恵を働かせるゼルダを助けたり、ふらっと昔訪れた土地に立ち寄ってみたりとそれはそれは自由気ままに過ごしていたのだそうだ。

ガノンドロフは、と聞くと曖昧に返されてしまったが。恐らく部隊に所属していた以前の――魔王と勇者の関係に戻り、対立することも少なくないのだろう。

ドンキーは生まれの孤島に戻り弟や友人たちと何ら変わりのない平和な日々を送っていたのだそうだ。しかし誰々が攫われた、なんて話はともかくバナナがどうとか言い始めた時には本人が真剣であるにも関わらず物が言えなかったわけだが。


「ほんで、あんたら二人は――」

言いかけてふと、ドンキーの足が止まった。

「……懐かしいですね」

釣られて立ち止まったリンクもその視線の先を辿って微笑をこぼす。

二人が見つめる先にはラディスの家があった。あれから十年間、何も変わらない。変わったことといえば――そればかりは、執拗に語る必要もないだろう。

「なあ」

ドンキーはじっと視線を注ぎながらぽつりと。

「ルーティ、元気しとるか?」


ここにきて答えづらい質問だった。


「……そうね。元気よ」

リムが答えるとドンキーは、そっか、と寂しそうに返した。

「ドンキー」
「そんなん分かっとる。俺たちルーティに会われへんのやろ?」
 
 
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