最終章
――実に十年ぶりの再会だった。
あれだけ毒舌で生意気が顔に染み付いていたのに。やんちゃで無茶ばかりしていたのに。十年経ってしまえば赤ん坊のおしめも取れるといったところで。双方共にすらりとした長身に端正な顔立ちと、他の平々凡々とした男子が見れば全くもって羨ましいばかりの素晴らしい成長を遂げている。
「来たったでー、ラディス」
……まあ。
「ちょっとうるさいですよドンキー」
見た目より中身の方は思いの外変わっていないようだけど。
「なんやねん。手ぇ打つんも大事な儀式やで?」
「初詣じゃないんですから」
リムはラディスの墓石の前でくだらないやり取りを繰り広げる二人を目にくすくすと笑って。ユウは呆れたように息を吐く。
懐かしい景色に一陣の風が吹いた。そこにいた四人を、からかうように。
「今日はいい風が吹きますね」
それまで膝をついていたリンクは立ち上がりながら言った。
「ええやないか。まるで俺たちを歓迎しとるみたいで――」
「そうだ。せっかく再会できたんですし歩きながらでもお話しませんか?」
「無視かーい!」
人がせっかくええことゆうとったのに、などとぼやくドンキーには申し訳ないが、なかなかに名案だと思った。さすがの十年だ、積もる話もあるだろう。
「いいわね。少し歩きましょうか」