最終章
ルーティの記憶を改変した。これで、無鉄砲に戦場に飛び出して殺されるということはなくなる。部隊の解散届も正式なものとして受理された。
これでよかったんだよな。
「フォックス」
友の呼ぶ声に振り向かず降り頻る雨の中でフォックスは立ち尽くしていた。
向日葵に囲まれるようにぽつりと置かれた墓石を見つめて。ただ。
「……よかったんだよな」
次にファルコが口を開こうとした時、遮られた。
「これで」
マスターとクレイジーは何処にもいない。
脅威は去った。これであいつの望み通り世界は平和になる。……だから。
だから。
「……!」
次の瞬間フォックスはファルコに抱き締められていた。
「なんで何も言わねえんだ」
強く。
「一人で抱え込むなよ!」
……強く。
「お前だけじゃない」
ファルコはくっと眉を寄せて紡ぐ。
「失ったのは“俺たち”なんだぞ……!」