最終章
ルーティの未来を守りたい。
愛する父親の死が。戦場に招き、触れさせてしまわないように。
どうか。あの子の記憶を――
「年端もいかない幼気な子供に」
小さな口を開いて。
「こんなことをさせるんだな」
毒づく。
その目が物語っていた。この選択が如何に残酷であるかを。
「……出来るか?」
躊躇わず。フォックスはそれだけの質問を投げかける。
「問題は大有りなんだがな」
小さく息をついてユウは扉を見上げた。
「最善を尽くそう」
――DX部隊に関する情報を全て忘れさせ、父ラディスの存在を二度と背を追わぬ愚かで残酷なものに。強い催眠術を使った記憶の改変。
全てはルーティを守るために。
「……ファルコ」
扉の閉まるのを見届けて、フォックスは口を開いた。
「行こう」