最終章



ぽつりぽつりと。重い声調で思いの内を打ち明けるルピリアに、それまでただ座るだけだったファルコも今度こそ立ち上がった。そんなのは、と叫ぼうとした彼に、一切視線を寄越さないまま、ファルコ、とフォックスが小さく窘める。

「……でも」
「ルピリアさん」

静かに。

「それでいいんですね?」


……彼だけは。

この日誰よりも至極冷静だった。


「私には」

ルピリアは唇を震わせ、涙を呑んで答えた。

「そのくらいしか」


確かに戦いは終わらないけど、今よりずっと緩和されて。


「フォックス……」


世界はもっと優しくなる。


俺たちなら。


「……分かりました」

いつの日か思い描いた幸せな未来を。

「叶えましょう」


分かったよ、ラディス。

俺たちが守ってみせるから。例え、どんなに歪で。


……寂しくても。
 
 
8/37ページ
スキ