最終章
ぽつりぽつりと。重い声調で思いの内を打ち明けるルピリアに、それまでただ座るだけだったファルコも今度こそ立ち上がった。そんなのは、と叫ぼうとした彼に、一切視線を寄越さないまま、ファルコ、とフォックスが小さく窘める。
「……でも」
「ルピリアさん」
静かに。
「それでいいんですね?」
……彼だけは。
この日誰よりも至極冷静だった。
「私には」
ルピリアは唇を震わせ、涙を呑んで答えた。
「そのくらいしか」
確かに戦いは終わらないけど、今よりずっと緩和されて。
「フォックス……」
世界はもっと優しくなる。
俺たちなら。
「……分かりました」
いつの日か思い描いた幸せな未来を。
「叶えましょう」
分かったよ、ラディス。
俺たちが守ってみせるから。例え、どんなに歪で。
……寂しくても。