最終章



線香の匂いが鼻をつく。誰々の啜り泣く声は雨音に掻き消されて。

お揃いの服。お揃いの気持ち。


それはとても寂しくて。悲しくて。


……そう。

これは大好きだったあの人の。


『DX部隊』リーダー、ラディス・フォンの葬式――


「……なんで」

それは苛立った様子ではなく。

「なんで、あいつなんだよ」

ただただ己の無力さを呪う自虐の声。

「くそ……」

今更。

何をぼやいたところで。何かが変わるわけでもない。


仮に何かが変わったところで。

お前が戻ってくるわけじゃないんだろ。


ラディス――
 
 
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