最終章
◆最終章『友の約束』
――ざあざあと。耳に障る煩わしい音がいつまでも。
大きな雨粒が地面を叩くように降り頻る、そんな天気だった。
地上界。森林都市メヌエルにある大きな向日葵畑。
その場所はラディスとその家族が管理していた土地だった。
大小様々な向日葵たちが咲き乱れる美しい場所。けれど今日ばかりは激しい雨に打たれどれも項垂れてしまっているかのようで。いや、太陽が出ていないのであれば当然か。……灰色の空。黒とも白とも形容し難い光閉ざされた暗い色。
「……ねぇ」
少女リムはぽつりと口を開いた。
「雨、いつ止むのかな」
腫れぼったい目と。
「寒いよ」
泣き疲れてしまった顔で。
「……知らんわ」
小さく答えたのはドンキーだった。
「似合いませんね、その服」
視線を一切寄越さないままリンクが言った。
「そんなん」
ドンキーは伏し目がちに返す。
「……誰も似合うとらんわ」