第十一章-後編-
……俺は。
その時だった。
鈍く低く唸り声を上げて地面が揺れ始めたのだ。初めは小さく、そして大きく。
「な、っなんだ!」
全員の視線が一斉に注がれた先には。
「……始まったか!」
時間がない。
「作戦はさっき話した通りだ!」
フォックスは一度クレシスを振り返った後でラディスに向き直る。
「……ラディス!」
マスター。クレイジー。
お前たちに伝えたいことがあるんだ。
多分これが、最後のチャンスになると思う。
だから。
――全てを賭ける。
「……行こう」
ラディスが顔を上げるとフォックスは深く頷いた。