第十一章-後編-



やっと僕たち、一つになれる。

お願い、引き離さないで!

離れたくない!


……関わらないで。踏み込まないでよ、これ以上。


沢山の感情が身体中を突き抜けて、消えた。

その中に。


……逃げてくれ。


納得、出来るはずないだろ。

俺はまだ。伝えなきゃいけないことが――


「ラディス!」 

はっと目を開いた。覗き込むのは見慣れた人の顔。

「フォックス……」


風がごうごうと唸り声を上げている。

「……ここは」

そうは口を開いたが聞くまでもなかった。

――外の世界に帰ってきたのだ。というよりは、追い出されたと言った方が正しいのだろうが。体力の失われた体ではどうしようもない強風に体ごと掬われ、あっという間に吐き出された。その際意識も飛んでしまったのだろう。

「っ、」

差し込んだ影の主をぼうっと見据える。

「……クレシス」
 
 
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