第十一章-後編-
ぎくりとした。
「そ、」
……まずい。
「そうじゃない」
淀んだ空気に押し潰されそうになる。
「俺はただ……助けたいんだ」
「世界を? 僕たちを?」
軽薄にからかうように言ってからクレイジーは睨みつける。
「嘘をつくな」
……今度こそ言葉に詰まった。
「結局は自分が助かりたいだけだろ」
「違っ、」
「違わない。あんたは死にたくないし誰も死なせたくない」
クレイジーは淡々と。
「だから僕たちを引き離そうとする。優しい言葉をかけて頭を撫でて子供をあやすみたいに宥めていればそれで事が穏便に済むものだと思ってる」
ぁ、と小さく声が漏れた。
「ほらね」
当たったでしょ――?
「結局はあんたも他の人間と同じ。自分の都合と評価ばかり気にしてる」
出ていけ、と。クレイジーはぽつりと言って、
「僕たちの世界から出ていけ!」