第十一章-後編-
疼く。ゆっくりと、開いて。
「うおおぉおおおおッ!」
はっと開いた。
目の前に飛び込んできたのは金色の髪の男。ボロボロになりながら此方に向かって全速力で突撃して結果、大きく弾き飛ばされている。
「……ラディス?」
片割れの瞼が小さく疼いた。
「っく」
一筋縄ではいかないか……
「何をしているんだ!」
びくっと肩を跳ねて見上げた。
「早く逃げろと……言ったはずだ!」
青の瞳が覚醒を示す。
「マスター!」
ラディスは叫んだ。
「クレイジーから離れるんだ、じゃないと」
「勝手なことを言うな!」
ぴしゃりと返された。
「俺は……」
ラディスはぐっと拳を握り締める。
「……人には逃げろとか言っておいて」
駆け出す。
「勝手なのはどっちだ!」