第十一章-後編-



◆第十一章『未来へ-後編-』



これがいつもの自分なら、誰にも出来なかったことを平然とやり遂げる自分は決まっているだの何だの心の中で格好を付けた後、調子に乗るなとばかりに何ものでもないただの小石に躓いてそれで弾き出され敢えなくご退場――といったところだがジョークを言ったところで何の面白みもない上に事態は一刻を争うのだ。

要塞の壁を力づくで突き抜けたその先には深い闇が広がっていた。慣れるとそれが霧や煙の集合体だったのだと分かる。それがぐしゃぐしゃと弧を描き円を描き、適当にはたまた忠実に黒く塗り潰して行く先を妨げている。


この暗闇の中に、二人が。


「マスター! クレイジー!」

返事をするものだとは到底思えないが叫んだ。

風が鳴いている。

「……?」

ラディスは顔を上げた。


「げっまたデータ消えてるし!」

声が聞こえる。

「仕方ないだろう、古いゲーム機なんだから」
「せっかく新しいストーリーで遊べると思ったのに……」

今度ばかりはあの時とは違う、目はしっかりと開いているそれなのにその声の主は何処にも見当たらなかった。

「またクリアすればいいじゃないか」

ノイズが入り混じる。

「……が……って……から……」
 
 
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