第十一章-中編-
そのひと言と周りの反応が全てだった。
皆、次の攻撃に備えながらも緊張と警戒の糸を緩めて体を休めている。
……正しい判断だと思う。いくら気を引き締めても相手が動かないのではただただ息が詰まり精神状態が侵されるだけ……事実リンク以外の子供たちはラディスが魔獣に食べられるという衝撃的な光景を見せつけられたのが精神面にも大きく響いているのだろう、全く口を開かないでいる。
早い決着が必要だ、でも。
「ラディス」
サムスがペットボトルを手に現れた。
「飲みなさい」
中には水が入っている。
「これで……少しは体を休ませて」
ラディスは受け取った。
「……ありがとう」
何かが引っかかっている。
「おい」
それから五分は経っただろうか。
要塞はその例えた名を裏切らないまま、動きを見せない。
「……ダークリンク」
ラディスは少しだけ目を丸くした。
「大丈夫なのか?」
「俺のことはいいんだよ」
ダークリンクは瓦礫を背凭れに腰を下ろして休めるラディスを見下ろした。
「……死に損ないが」