第十一章-中編-
「ああぁああああぁあッ!」
……遠く、本当に遠く。悲痛な声が聞こえた。
閉ざされた闇の中肉厚な何かに取り囲まれたような感覚と、妙な温もりがそれでも何故か心地よかった。途方もない眠りを誘われてつい、意識が遠退く。
「……ほら、そこを潜って」
声が聞こえる。
「このゲームではそいつの台詞が分岐の鍵になる」
「あっ褒められたよ兄さん!」
「よし、後はここのボスを倒すだけだな」
傍で聞こえるというより頭の中に響いてくる感じだった。それでいてまるで機械に記録された音声のようにノイズ混じりの子供の声は、所々がよく聞き取れない。
「……ねえ、兄さん」
僕たち。
神様になったら。
今より幸せになれるかな――