第十一章-中編-
沈む。揺らぐ。傾く――不穏な音。
「うおおぉおおおッ!」
重い衝撃が死角から飛び込んでファルコの体は大きく弾かれた。その直後ひび割れた地面から突き出たのは暗い紫の無数の棘。天に向かって真っ直ぐに、あの場にいたら串刺しとなっていたのは確実――ファルコは完全に隙を突かれていたその光景に目を開いてそのまま、地面に数度跳ねて転がった。
間一髪、体当たりで助けに飛び込んできたファルコンと一緒に。
「ッぐぁ」
小さく呻いて地面を擦れ、ファルコンのヘルメットが弾かれ宙を舞った。見計らったように棘が地面より突き出て粉砕する。魔獣はゆっくりと前足を踏み込んで。
「ファルコン!」
サムスが叫ぶと今までヘルメットの下に隠れていた茶色の髪を垂れて息を吐き出し、膝をついて顰めた顔でファルコンはきっと魔獣を睨みつけた。
「ポポ! ナナ!」
飛び出す魔獣の前に立ちはだかる。
「わかった!」
二人の少年少女。
「ブリザード!」