第十一章-中編-
――どういうことだ?
フォックスはもう一度、あの巨大な剣を見上げた。
「事情が違うみたいですよ」
ゆらりと現れたのはヨッシーだった。
「……オメェ」
「大丈夫。僕も」
ヨッシーはそれまで庇っていた右腕から左手を退けた。……傷がない。
「死んだはずじゃなかったのか」
「マスターのことですか?」
ファルコは黙り込んだ。
「……率直に言って彼は生きています。そしてこの状況を望んでいない」
「どういうことだよ」
「それは」
言葉が切れた。
音。
「……なんだ?」
「耳鳴り、じゃないな」
頭の中に響いて止まないそれはメンバー全員に聞こえているようだった。
ふつふつと間隔は短いが途切れながら聞こえる。電子音。これは――
「……モールス信号?」