第十一章-中編-
誰も呆気にとられ、見上げていた。
右腕を切断された巨人はたちまち姿形を変えて――霧と煙の象る、五本の剣に。
その剣は。
無防備な戦士たちを十、二十の斬撃で裂いた。
――赤が舞う。とどめとばかりに内の一本を大きく振りかざして。
落とす。
「ぁ」
絶望の声がこぼれた。
「ロイ! マルス! カービィ!」
大振りの剣によって叩き落とされた三人の元へ。順に名前を叫んで舞い上がる砂塵の中へ飛び込む。つんとした血の匂いが鼻を通り抜けて喉の奥を突く。
……砂塵の中に腕を見つけた。走る速度が緩やかに変わり、立ち止まる。
やっぱり。
「ラディス!」
名前を呼ばれるのと同時、一陣の風が吹いた。
おさまる。庇うように差し出していた腕を退けて顔を上げると。